事例集(住宅ローン難民)

コロナによる収入減により住宅ローンが支払えなくなったケース

大手航空会社に勤めていたAさんは年収1200万円あり、都内に7000万円のマンションを購入し順風満帆な生活を送っていました。しかし、コロナ禍により海外への渡航制限がされたことにより、運航便が激減して会社の収益が急激に悪化したことにより給料のカットや労働時間の減少を余儀なくされてしまいました。これにより収入は急激に落ち込んでしまい、貯めていた貯金も底をつき、もう来月にも住宅ローンが支払えなくなってしまうという状況に追い込まれてしまい、ご相談を受けました。

ご提案した対処方法

まだ住宅ローンを組んでから返済が1000万円程度しか済んでおらず、残債は6000万円ほど残っていた案件でしたが、ちょうど都内のマンションの相場が高騰していたタイミングだったこともあり、物件の査定をした時点で購入時と同じ7000万円で売却できる見込みがたったため、通常売却で処理することをご提案いたしました。

また、それまでのつなぎのお金が必要ということだったため、緊急の措置として金利の安い住宅ローンを組んでいる銀行でのフリーローンの契約を推奨させていただきました。

その後の経過

まずはすぐにキャッシュを作る必要があったことから、すぐに銀行にアポイントをとり、フリーローンの契約をとりつけました。ローンの申し込みから着金まで1週間程度だったので次回の支払いまでに十分に間に合うスケジュールでお金を借りることができました。

また、住宅ローン残債のある物件について、とにかく早く清算したいという希望だったため、通常であれば相場よりも高い金額から売りに出すところだったものを、相場通りの価格設定として売却活動を進めていったところ、幸運にもすぐに購入希望者が現れてスムーズな売却をすることができました。

本案件のポイント

住宅ローンを滞納する前にご相談いただいたという点が最も良かった点でした。1度住宅ローンを滞納してしまうと、住宅ローンの借換や追加融資などの対応をとることが難しくなるため、とにかく早めの対応をすることが大切になります。

また、基本的に不動産業者が共有しているレインズなどのデータベースは、ほぼ全ての業者が毎日情報を確認しているため、相場を正しく把握した上で販売活動をすれば、ほとんどのケースで買い手はスムーズに見つかります。

不動産の購入はタイミングが重要です。一度購入希望者を逃してしまうと、今後いつ購入希望者がまた現れるかはわかりませんので、商談が入った際に確実に売却を決めるスキルを持った営業マンと組むことが大切になってきますので、業者の選定はよく検討する必要があるでしょう。

主人が病気で倒れて住宅ローンが払えなくなったケース

物件の所有者であるご主人が病気により緊急入院をしてしまい、しばらくは職場復帰もできない状況に陥ってしまったことで住宅ローンを含む様々な借入の支払いが不可能になってしまいました。元々家計は火の車で複数のカードローンを使用して自転車操業をしていた最中での出来事でした。過去に住宅ローンの滞納履歴があり、今回の滞納により保証会社からの代位弁済の通知があったことで困り果てた状態でご相談にいらっしゃいました。

ご提案した対処方法

保証会社からの代位弁済が行われてしまった後ということで、対処法としては任意売却をするか、競売となってしまうかの2パターンの選択肢しかないということをお伝えし、任意売却を選択していただきました。任意売却をするにあたっては債権者の合意が必要なため、今回のケースでは住宅ローン支援機構と某メガバンクに対し、任意売却を依頼した旨をご連絡をしていただきました。

今回は住宅ローン以外にも300万円程度カードローンの借入がある状態でした。ご主人の健康状態の見通しの不透明さから月々の支払いを継続することも難しいとのことでしたので、弁護士の先生を紹介し、任意売却と並行しながら自己破産の手続きを進めていくことになりました。

その後の経過

任意売却を依頼した旨を債権者にお伝えいただいた後は、こちらでやりとりを引き継ぎ、住宅ローン残債のある物件について、売却価格を交渉し不動産の売却活動に移りました。任意売却では債権者の希望する価格でしか売り出すことができないという制約はあるものの、最初に設定した価格で売却が決まらなければ、債権者と交渉のうえで段階的に売却額を下げていくことができ、最終的には相場にあった価格で物件を売却することができました。

弁護士の先生に債務整理の受任通知を送ってもらったことで、借金の催促もなくなります。任意売却が決まる半年程度の期間は、今まで支払いをしていた住宅ローンとカードローンの支払いがなくなる状態となりましたので、その間の期間で毎月10万円程度の貯金をすることができ、自己破産のための弁護士費用と引っ越し費用を捻出することができました。

今回は財産もない状態での自己破産となりましたので、自己破産からの免責までの時間も短い同時廃止案件となり、スムーズな新生活への移行をすることができました。

本案件のポイント

任意売却×自己破産という組み合わせは、住宅ローンをなんとしても支払うためにカードローンを利用するケースが多いことから、非常によくある事例となっております。

この対処法をとった場合は、不動産の売却活動をしている期間において家賃の支払いやカードローンの支払いなどから一切解放される期間があるため、新生活のために生活費を貯蓄できる期間があることが大きなメリットとなっています。

任意売却などの不動産売買の場合は、物件の引き渡し日を買主と交渉することが可能になるため、ある程度ゆとりを持って引っ越しが可能となりますが、これが競売となってしまうと買主との交渉は事実上不可能になってしまいますので、例え自己破産をする場合でも任意売却をした方が良いケースのほうが多いでしょう。

まだ小さい子供のために、リースバックで家に住み続けたいケース

地元の小さな食品会社に勤めていたBさんですが、会社の業績の悪化から突然のリストラになってしまい貯金を切り崩しながらやりくりしていたものの、ついに住宅ローンが支払えなくなってしまいました。持ち家を手放す覚悟はできているものの、気がかりなのが今年小学3年生になる子供のこと。せっかく学校にも慣れて楽しく過ごしているのに、親の不甲斐なさで転校させるということがどうしても耐えられないということで自宅を売却後もそのまま済み続けるリースバックを検討されている状況でした。

ご提案した対処方法

地方在住だったということもあり、土地代が安かったことから、現在の住宅ローンの残債は800万円程度という状況でした。リースバックは投資家に対して利回り10%程度の条件で物件を売却することが必要となため、月6.7万円で住み続けること見込みとなる旨をお伝えし、リースバックを前提に物件の購入者を募ることになりました。

その後の経過

リースバックを前提とした物件は立地によって人気が大きく分かれます。特に今回の案件は地方での一軒家という物件だったため、リースバック契約を結んだものの、その後退去した場合のリスクを投資家が嫌い、利回り10%では購入者が現れませんでした。

そこで月々の家賃にテコ入れし、利回り11%で購入者を募ったところ、1ヵ月程度で物件の購入希望者が見つかり、無事売却をすることができました。これにより月々の家賃支払いは7.3万円となってしまいましたが、競売にかかり家を追い出されることを考えると、とても良い結果になったと喜んでいただけました。

本案件のポイント

リースバックは住宅ローンの残債を解消できる金額で購入してもらえる投資家を募り、住宅ローンという巨額の借金を無くしながら、そのままの家に住み続けるある種理想的な手段の一つになるかもしれません。

しかしながら、リースバックは購入者も住宅ローンが使えないという事情から、購入対象者が不動産投資家に限られるため、買主を見つけることが大変になりがちです。また、立地に条件が大きく左右されることから、場合によってはとても高額な利回りで契約せざるを得なくなってしまうこともあり、あまりにも高額になってしまうようであれば最終的にリースバックを断念しなければならないケースもあるということを念頭に置いて検討する必要があるでしょう。

ただ、逆に言えば都内の利便性の高い立地である場合などでは、利回り8%程度であったとしても購入を希望する投資家を見つけることが可能ということでもあるため、お住いのエリアなどの条件をよく考慮したうえでリースバックを検討することが大切になってくるでしょう。